2016年2月20日土曜日

人が歩くということ

 皆さんご存じかと思いますが、最近は、手術したからといっていつまでも寝させてくれるわけではないんですよね。で、僕も次の日には、歩かされました。一晩経って、心電図とか酸素マスクとかを外されて、じゃあ、体を拭きましょうって、起こされたんですけど、何か貧血みたいになって、気分が悪くなったものですから、午前中に歩いてみる予定が、午後に延びたんです。

 腹腔鏡手術で、傷口は比較的小さいとはいえ、切っていることには、変わりありませんし、内臓を切り取った負担は、術式に関わらず同じですから、そりゃあ、体を起こすだけでも、一苦労です。
 
 看護師さんに支えられながら、ゆっくり立って、点滴のスタンドに完全に寄りかかって立ち上がりました。で、一歩一歩、歩いて行くんですけど、体からは、いろいろと管が出ているし、まあ、歩き始めの赤ちゃんが歩行器を使って移動するよりも、ぎこちなかったです。

 でも、一歩ずつ進んでいくうちに、だんだん、気分が晴れてくるんですよね。歩いた距離なんて、たかだか20mも無いくらいですけど、何か凄いことをやり遂げたような気分になって、凄ーく前向きな気持ちになれたんです。それまでは、厭だ厭だとか、辛い辛いなんていうことしか頭に浮かばなかったのに、一気に頭の中が清々しくなったっていう感じなんです。

 やっぱり、人間って歩くようにできているってことなんでしょうか。きっと、歩けることに喜びを感じられるように、進化の過程でインプットされているんでしょうね。

 その晩、僕は、家族にメールを送りました。今日は、お見舞いに来てくれてありがとうって、普段だったら家族にそんなメール、絶対送ったりしないんですけど。