2016年12月14日水曜日

医療保険よりも消費税!?

 僕の周りにも、御家族が癌と診断された方がいます。で、僕は、癌患者としては、一応先輩ですから、いろいろと質問されることもあります。その質問の中で多いのが治療費のことです。

 僕は、若い頃に職場で勧誘されて、アフラックのがん保険の一番安いやつに入っていました。その後、電話がかかってきて、特約を付けろとか、新しいタイプのやつに更新しろとか云われたんですけど、面倒なのでそのままにしておきました。月あたり千数百円程度ですから、たいした保険ではありません。ガンで入院すると一日について1万円もらえるって、それだけのやつです。

 保険会社の対応は早かったですよ。診断書を送ったら、一週間もしないうちに振り込みの通知書が届きました。さすがガン専門の保険会社ですね。好感度アップです。僕は、十数万円の保険金を受け取ることができました。

 一方、入院に際して、僕が病院に支払ったお金についてです。医療費の総額は、何百万円もかかっているはずですが、健康保険のおかげで、3割負担となって数十万円となります。しかも、日本には「高額療養費」という素晴らしい制度があります。これで自己負担額は、大幅に減額されますから、シーツ代とか、入院時の食費など、適用外の分を合わせても、僕が病院に支払った総額は、十数万円でした。つまりアフラックからの保険金で、ピッタリ支払えたことになります。もし、いろいろな特約が付いている充実したプランに加入していたら、おそらく大幅な黒字になったと思います。

 で、めでたしめでたしと云うことなんですけど、考えてみれば、僕が若い頃から支払い続けていた保険金の総額って、一番安いタイプだとしても、数十万円になっているはずです。
 癌になったら高額な医療費がかかるから、そのくらいの保険は、かけておいたほうが良いだろうって納得してのことだったんですけど、実際にガンになって、支払った金額は十数万円だったんですよ。そのために、僕は何十年もの間、保険金を払い続けていたんです。十数万円なんて、車の車検代程度ですよ。将来の車検のために保険に入る人なんていないでしょ。
 だったら、保険になんか入らないで、積立貯金でもしていた方が良かったんじゃないかって思ったんです。

 僕の選択は、結局のところ正しかったんでしょうか。

 保険会社は、最先端医療は健康保健がきかないから特約を付けた方が良いなんて勧誘しますけど、量子線治療などが使えるガンは一部のガンに限られていて、最先端医療ってのは、お金を積めば誰でも受けられるというものでは無いんです。
 ですから、現在行われている治療の大部分は、健康保健が適用されます。腹腔鏡ロボット手術なんてのも、世界的に見れば最先端の治療ですけど、普通に健康保健の適用範囲内だし、分子標的型とか、話題の「オプジーボ」みたいな免疫型の抗ガン剤も保健適応です。
 あと、保険に入っていれば、個室代がかかっても大丈夫って云ますけど、僕の入院した病院では、みんな2人定員の普通病室でした。手術直後の時とか、明日にも死んでしまいそうな時は、監視しやすいようにナースセンター前の一人部屋に入りますけど、個室料金はかかりませんでした。入院すれば分かりますけど、患者になるとプライバシーとかどうでも良くなるんですよね。芸能人じゃあるまいし。
 ですから、健康保険と高額療養費の制度がある限り、どんなに入院、治療しても、月あたりの医療費は、数万円以内に収まるようになっているんです。生活保護を受けている人なら全額無料、それが日本の医療福祉制度なんです。

 もちろん、個室で優雅に入院生活ってのも否定しませんけど、だったら、元気なときに旅行に行って、豪華なホテルで過ごした方がよっぽど価値或るお金の使い道のように思います。

 ヨーロッパでは、国が面倒を見てくれるので、医療保険に入る人はいません。彼らが20%を越える消費税を払っても生活できるのは、保険会社への掛け金を払う必要が無いからです。
 一方、アメリカでは、国は面倒を見てくれませんから、個人で医療保険に入っているわけです。

 日本の社会福祉制度は、思いの外充実していて、ヨーロッパ並みになっています。ところが、日本国民は、自国の福祉制度を信頼していませんから、せっせと保険をかけていて、その金額は、消費税に換算すると15%とも20%とも云われています。
 つまり、みんなが保険を解約して、今まで払っていたお金をそのまま消費税として納めれば、全ては解決することなんですよね。このままでは、国の財政が破綻するのは時間の問題です。国は滅びて、保険会社が栄えるというのが此の国の未来の姿なんですよ。外資系の保険会社が盛んにCMを流すのは、日本がそれだけ美味しい市場だからです。しかも最近は、お金を持ってそうな日本の年寄りに向かって、何才でも入れますとか言っちゃって。
 国は、年寄りが長生きできるように税金を使って医療を充実させます。で、日本の年寄りが長生きすればするほど保険会社は儲かります。保険会社を儲けさせるために国が税金を使っているようなものです。子や孫に少しでも残せます、ってCMで云ってるけど、子や孫に残すべきは、保険金で無くって、日本の社会福祉制度だと思うのですが。

 まあ、1つも保険に入っていないというのも、御心配でしょうから、医療保険もほどほどにってことで、今日はお終いです。

 僕ですか?
 
 病み上がりの人間を入れてくれる保険会社なんて何処にもありません。保険会社ってのは、そういうところなんですよ。

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